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200909271236000-1.JPG雲が多いけど、時おり雲のすき間から陽がさす日曜日。
散歩ついでに近所の神社をお参りする。境内に入るとゆらゆらと揺れる木漏れ日に優しい気持ちになる。ギラギラとしてエッジの効いたのとは異なる心持ち涼やかな印象の光。季節はボチボチと秋。

お参りを追え、静かな日曜日の住宅地を眺めながら歩いた。
散歩の帰り道、いつもの八百屋をのぞく。青森産の蕪が安い。虫喰いのある葉やツヤのある白い表情に惹かれて三つほど買う。この時、どんなふうに料理して食べるかは、まったくのノーイメージで、食べるためというよりも、ただただ蕪のその姿にすいこまれて買ってしまった。

三つの蕪の入ったビニール袋を手に歩く。いい買い物をしたと小さな満足感をもって手もとの袋に目をやると、袋からはみ出た葉に、ハート型の虫喰い穴をみつける。

ハート型というのは思いがけずみつけると嬉しい。
そしてこのハート型の穴が、確かにこの蕪が畑の土に生えていて、その蕪の葉をかじる虫がいたことを実感させてくれた。そのことに、とてもささやかな温かい気持ちになった。

そのとき写真に残そうとふと思う。でもカメラを手に持ち、構えて、あれこれしているうちに、このささやかな温度が風に消えてしまうような気がした。
この時だけでなく、そんな気持ちになることは多い。そして、たいがい写真を撮らずに終わる。ちょっとだけ後悔する、しないこともある。

ただ目の前のささやかな温かさに寄り添っていたいと思うことがある。自分という存在を消して観ていたいと思うことがある。
そして、そんなふうにいろんなささやかな温度や光を写真に撮れたらいいなと思う。自分の気持ちと自分を消したい気持ち、矛盾もあるし、うまく言えないけどそう思う。

今は、そんなふうには撮れない。いつかは、撮れるだろうか?どうだろう?
そんなことを思いながら、次のおいしい出会いが楽しみ。